NETFLIXにて、「愛なき森で叫べ」が公開されます。2019年10月11日(金)。監督は園子温。主演は椎名桔平 。私は園子温監督作品であることと、この映画がとある猟奇的殺人事件をモチーフとしていることで、公開を楽しみにしていました。楽しみといっても、本音は「見たい50%:見たくない50%」なんですけれど。この「とある猟奇的事件」というのが、想像するだけでもかなりきつい事件なので、正直怖いんですよね。ホラー映画を待ち望む気分です。
1. 園子温という監督
園子温監督の作風は、とにかく刺激的な作品が多いです。エロ・グロ・バイオレンスが多めなので、ダメな人は受け付けないと思いますが、一旦好きになると過去作まで全部見たくなってしまうと思います。ここでは、まだ知らない人になるべくわかりやすく、監督についてまとめてみようと思います。
1-1.簡単な年表
- 1961年-愛知県豊川市生まれ
- 17歳で詩人デビュー。「ユリイカ」「現代詩手帖」に続々と詩が掲載され、”ジーパンをはいた朔太郎”と称される。法政大学入学後、8mm映画を手掛ける。
- 1986年、8mm映画『俺は園子温だ!』がぴあフィルムフェスティバル入選。以降、8mmや16mmで作品を発表していく 。 一方、街頭詩パフォーマンス「東京ガガガ」を主宰し、一大ムーブメントを起こす。4000人のパフォーマーが渋谷のストリートで展開。このドキュメントを収めたジャン・ジャック・ベネックスのテレビ番組はフランスで視聴率40パーセントを超え話題となる。 ファッションデザイナー荒川真一郎とのプロデュース、短編『0cm4』(1999年)は上映したフランス、パリコレクション会場がスタンディングオベーションの渦となった。
- 物議を醸した衝撃的な作品『自殺サークル』を公開。新宿武蔵野館における過去最高の観客動員数となり、記録を塗り替える。ビデオ、DVDはアメリカ、フランス、ドイツ等世界各国で発売、レンタルされた。またカナダファンタ映画祭(ファンタジア2003)にて、観客投票で第1位 となり“観客賞”を獲得。同時に“今年、最も優れた映画に贈る賞”も獲得。2002年度日本映画プロフェッショナル大賞第10位 。
- 2006年『紀子の食卓』を公開。第40回カルロヴィヴァリ映画祭・コンペティション部門の“特別表彰賞”と、国際シネマクラブ連盟による“ドン・キホーテ賞”を受賞。また韓国で開催された第10回プチョン国際ファンタスティック映画祭コンペティション部門の観客賞と主演女優賞受賞した。
- 2007年、テレビ朝日系ドラマ『時効警察』に監督として参加。
- 2008年、『愛のむきだし』を公開。第9回(2008年)東京フィルメックスにおいて観客の投票によって選出される「アニエスベー・アワード」を受賞。第59回(2009年)ベルリン映画祭に出品され、「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を受賞した。
- 2011年、『冷たい熱帯魚』を公開。第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に正式出品された。日本国内では様々な映画賞に名を連ねた。さらに同年『恋の罪』を公開。
- 2012年、『ヒミズ』を公開。古谷実の同名漫画を映画化。自身初の漫画原作物に挑んだ。
- 2013年4月、テレビ東京系ドラマ『みんな!エスパーだよ!』にて総合監督を務めた。同月、「芸人」宣言をし舞台デビュー。9月、『地獄でなぜ悪い』を公開。エンターテイメントに徹したアクション活劇を監督。 第70回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に正式出品された。第38回トロント国際映画祭では、ミッドナイト・マッドネス部門観客賞を受賞。
- 2014年6月、小説「毛深い闇」を河出書房新社より出版。8月、井上三太原作の『TOKYO TRIBE』を公開。11月、雑誌「GQ JAPAN」がその年最も輝いた男性を表彰する「GQ MEN OF THE YEAR 2014」を受賞した。
- 2015年5月、和久井健原作、綾野剛主演で『新宿スワン』を公開。園作品最大のヒットを記録。
- 2016年4月、自身初の美術館での個展、園子温展「ひそひそ星」をワタリウム美術館にて開催。5月、第40回トロント国際映画祭にてNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した『ひそひそ星』を劇場公開する。大島新監督のドキュメンタリー映画「園子温という生きもの」が公開される。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%92%E5%AD%90%E6%B8%A9
いくつかの映画は説明を省きましたが、インディーズ・メジャーに関わらず意欲的に活動しています。2019年2月には、心筋梗塞で病院に運ばれましたが治療をし、現在は問題ないようです。
1-2.実際の事件に着想を得ている映画について
たくさんの作品の中で、日本国内で大きく話題になった事件をモチーフにしている映画がいくつかあります。以下にまとめました。
死別した前妻の娘と現在の妻。その折り合いの悪い二人に挟まれながらも、主人公の社本信行は小さな熱帯魚店を営んでいた。波風の立たないよう静かに暮らす小市民的気質の社本。だが、家族の確執に向き合わない彼の態度は、ついに娘の万引きという非行を招く。スーパーでの万引き発覚で窮地に陥る社本だったが、そんな彼を救ったのはスーパー店長と懇意のある村田だった。村田の懇願により店長は万引きを許す。さらに大型熱帯魚店を経営する村田は、娘をバイトとして雇い入れる。その親切さと人の良さそうな男に誘われて、社本と村田夫婦との交流が始まる。 しばらくして、利益の大きい高級魚の取引を持ちかけられる社本。それが、村田の悪逆非道な「ビジネス」と知り、同時に引き返せなくなる顛末への引き金となった。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%B7%E3%81%9F%E3%81%84%E7%86%B1%E5%B8%AF%E9%AD%9A
1997年に渋谷区で発生した東電OL殺人事件が元ネタになっている。作品の内容や、それまで清純派のイメージが強かった水野美紀がヘアヌードになったことでも注目を集め、単館系の作品ながら興行収入一億円を突破するヒットとなった。第64回カンヌ国際映画祭・監督週間部門でワールドプレミア上映された。
引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%8B%E3%81%AE%E7%BD%AA
1995年、東京。愛知県から上京してきた家出少年シンは、若者たちによる自主映画の撮影に参加することになり、知人の妙子と美津子に出演を依頼する。彼女たちは高校時代、憧れのクラスメイトが交通事故死した事件からいまだに逃れられずにいた。世間が銃による連続殺人事件に震撼する中、引きこもりとなっていた美津子のもとに、村田という男から電話がかかってくる。「10年前に借りた50円を返したい」という村田に不審感を抱く美津子だったが、紳士的な彼に次第にひかれていく。しかし村田の正体は、冷酷な詐欺師だった。妙子の姉も村田にだまされていたことから彼の本性を知ったシンたちは、村田を主人公にした映画を撮り始めるが……。
引用元:https://eiga.com/movie/91445/
過去に2作の作品が、実際にあった事件モチーフで作成されており、今回の「愛なき森で叫べ」が3作目となります。それぞれ、モチーフとなった事件のwikipediaリンクをつけてありますので、内容については「自己責任」で確認してください。(本当にきつい内容なので、、、)
2.過去に同じ題材で作られた作品はある?
あまりにも衝撃的な事件の内容のため、そこから着想を得て作られた作品が今までにいくつか存在します。園中でも、個人的にこの事件を知るきっかけになったのは「闇金ウシジマくん」。作中のシリーズ「洗脳くん」にて、この事件を下敷きにしたストーリーが展開されます。これについては、ドラマ版でもseason3で洗脳くんを放映している(但し、テレビに耐えうるように内容は薄めてある)ので、知っている人も多いかもしれません。
当時、リアルタイムで原作漫画を読んでいたのですが、かなりのグロさ、衝撃的な物語の展開に、読むのが辛かったです。
他には
- 小説「殺しあう家族」: 新堂冬樹
- 小説「寄居虫女(ヤドカリオンナ)」 : 櫛木理宇
- 小説「ケモノの城」:誉田哲也
もっとあるとは思いますが、私が実際に読んだものではこんな感じ。
3.「愛なき森で叫べ」キャストは?
発表されている主要なキャスト陣は、以下の通り。個性の強そうな演者が多い印象です。
村田 丈 : 椎名桔平
シン : 満島真之介
水島妙子 : 日南響子
ジェイ : YOUNG DAIS
尾沢美津子: 鎌滝えり
尾沢アズミ: 真飛聖
尾沢茂 : でんでん
「冷たい熱帯魚」で、怖すぎる殺人犯を演じたでんでんが、今回は巻き込まれる側に。今回は自分が「ボデーを透明に」されるのでしょうか。
「冷たい熱帯魚」で、殺人犯の苗字だった「村田」。この名を受け継ぎ、今作でサイコパスを演じるのが 椎名桔平 。彼の演技は昔から大好きなのですが、特に「アウトレイジ」でのヤクザ役が本職にしか見えなくてカッコよかったです。
物語の中で重要な役どころを演じる「シン」を 満島真之介 。全裸監督でも、だんだんダークサイドに墜ちていく素晴らしい演技を見せてもらいました。実は彼、思春期の頃に監督の映画に魅了され、それから姉を経由して、監督の個人的アシスタントをしていた時期があったそうです(記事はこちら)。それから時が経ち、俳優と監督として再会したのが2017年「東京ヴァンパイアホテル」。(amazonプライムビデオ)。つながりが深い間柄であり、期待してしまいます。
そして私が個人的にとても楽しみなのが、「ジェイ」を演じるYOUNG DAIS。過去には監督作品である「TOKYO TRIBE」の主役を演じていますが、私が好きなのは「日本で一番悪いやつら」での彼。 山辺太郎という役どころなのですが、綾野剛演じる諸星という警察官に結果的に利用されることとなり、うだつのあがらない人生を歩んでしまう男を上手に表現していました。ラッパーですが、俳優としても魅力ある人物だと思います。
園子温監督作品は、web上で見れる?
たくさんの監督作品。ちょっと調べてみたところ、もっとも品揃えが良かったのは「NETFLIX」、少ないけれど、NETFLIXでは見れない作品を用意しているのは「Hulu」でした。また、監督のオリジナル作品として、他のサブスクリプションサービスでは見れないのは「amazonプライムビデオの東京ヴァンパイアホテル」でした。
「愛なき森で叫べ」は、NETFLIXが出資して作成したものなので、入会しなければ見ることが出来ません。 NETFLIX は、一ヶ月無料お試しを行っているので、試してみてはいかがでしょうか。また、Huluも二週間無料お試しを行っています。長編ドキュメント「園子温という生きもの」は、Huluで公開しています。
もし興味があれば、試してみてはいかがでしょうか。個人的にはおススメのサービスです。