帰宅部。

【漫画】魍魎戦記MADARAについて書きたい。

 「魍魎戦記MADARA」という作品を知っているでしょうか。ブックオフの100円コーナーには大抵ある漫画本だと思います。私が今でも読み返す漫画なのですが、おそらく20代の方々は知らないか、知っていてもリアルタイムでは読んでいないと思います。今回はこの作品の魅力について、個人的な感想を書いていこうと思います。令和に入って、話題にしている人も少ないでしょうし、未読の人にぜひ読んで欲しいので。

1. どういう時代に生まれた作品?

 この作品は私がまだ小学生のころ、「マル勝ファミコン」という雑誌上で連載が始まりました。現在ではイラストレーターとしても知られる、田島昭宇氏の実質的なデビュー作品です。もともとは、魍魎戦記MADARAシリーズとして漫画、小説、コンピュータRPG、OVA、ラジオドラマ(CDドラマ)に展開するメディアミックス作品群として企画されたもので、実際に色々な形で世に送り出されることになります。

2. 膨大な作品体系

  『魍魎戦記MADARAシリーズ』(以下、MADARAシリーズと略記)は、様々なメディアで展開される108編の物語により構成される膨大な作品群で、基となる「始まりの大陸」での物語と、メインとなるキャラクター達が転生した様々な時代の物語からなる。全ての物語が語られているわけではなく、未完のものが多い。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AD%8D%E9%AD%8E%E6%88%A6%E8%A8%98MADARA%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

 メディアミックスとして企画されていただけあって、当時は様々な媒体で作品が発表されていました。本編としては、「 摩陀羅壱 」「 摩陀羅壱弐」「 魍魎戦記MADARA赤 」が代表的な作品であり、「 MADARA 転生編 」という作品は、108の物語が終わった後の世界を描いています。外伝系の作品は、未完で終わっているものも多いです。

3. 「【摩陀羅壱 】 は「どろろ」インスパイア系にして、最高峰(だと思っている)。

 過去記事でも書きましたが、私は「どろろ」という作品が好きです。そしてこの【 摩陀羅壱 】という作品は、私が初めて出会った「どろろ」インスパイア系作品だったのです。

神々が住む楽園の国「アガルタ」。
そのアガルタに住む男ミロクはアガルタ最高位の霊性を持ち出し下界へと追放された。
そして、アガルタの魔に取り憑かれたミロクは魔王となって魍鬼と呼ばれる妖魔を操り、
瞬く間に大陸全土を支配し、アガルタへの扉があるとされる須弥山に金剛国という帝国を作った。
彼は地上における最高位の霊性の持ち主であるコノハナサクヤ姫と力ずくで婚姻を結び、
二人の間に子供が産まれる。
しかしその子供、マダラには父をも越えるチャクラが備わってしまって、
その霊力を恐れたミロクはマダラの8つのチャクラを奪い、そのまま川に投げ捨てた。
そして、蓮の花に乗せられた不思議な赤子が
川下にあったヒジュラ人の村に流れ着いたところから物語は始まる。

https://wikiwiki.jp/comic-story/%E9%AD%8D%E9%AD%8E%E6%88%A6%E8%A8%98%EF%BC%AD%EF%BC%A1%EF%BC%A4%EF%BC%A1%EF%BC%B2%EF%BC%A1

 主人公の名前は、作品名にもなっている「 摩陀羅 」です。彼は父・ミロク帝によって、体の8カ所とチャクラを魔界の魔物(魍鬼八大将軍)に捧げられたため、体の失った部位をギミック(義手など)により補っています。 魍鬼八大将軍 を倒すごとに、体を取り戻していきます。

 どろろ、ですよね。

 住んでいた村を襲撃され、 魍鬼八大将軍 の一人を倒すことで肉体の一部を取り戻した 摩陀羅 は、自分の生い立ちを知り、体を取り戻しながらミロク帝を倒すために旅を続けます。

 但し、あくまで「インスパイア系」。魅力的な登場人物も多く、途中からはオリジナリティ溢れる展開になっていきます。なんといっても、物語が長い歴史にまたがって進行していき、その度に様々な人物が転生して、その物語を紡いでいきます。転生先では、誰が誰の転生なのか最初はわからないので、初見の方はそのあたりを考えながら読むのも楽しいと思います。

4.  私が「魍魎戦記MADARAシリーズ」を好きな理由

 4-1. 「どろろ」インスパイアだから

 どろろ系(乱暴ですが)の物語は、無条件に好きなんだと思います。失ったものを取り戻してく。そんな展開にわくわくしてしまいます。

  4-2. 登場人物が魅力的  

  この作品群を読んでいくと、うっすらわかってくると思うのですが、「 摩陀羅 」が主人公として出てくる作品は「 摩陀羅 壱」だけです。それ以外の作品ではどちらかというと、その他の人物が 摩陀羅を探す物語になっています。これは、どこに転生したかわからない 摩陀羅 を、仲間が追いかけて転生し続けているからです。そのため、主人公ありきの作品ではなく、その他の人物もキャラがしっかり立っています。後年の作品になるに従い、「 摩陀羅 壱」聖神邪と呼ばれた若者は、主役のようなポジションになっていきます。現在に転生した聖神邪は、 犬彦綬陀矢(いぬひこ ゆだや) という名前で主役を張っています。(因みに、田島昭宇氏の作品である「多重人格探偵サイコ」には、犬彦という刑事が登場します。多分同一人物ではないと思いますが、スターシステムとして使うほど、魅力的なキャラクターだと言えます)。

 4-3.一応完結しているとはいえ、外伝が膨大にある(作れる)設定

 MADARAシリーズ は、紆余曲折あって、2003年に小説という形で完結しています。但し、本来はもう少し違う形での完結編ではなかったのかな?と考えてしまいます。というのも、原作者である大塚英志氏は、現代を舞台としたMADARAシリーズをいくつか書いていますが、いずれも未完になっていて、最終的には「僕は天使の羽を踏まない」という小説名で、物語に決着をつけているからです。タイトルにMADARAと表記していないところからも、本来書こうと思っていた内容が何らかの理由により方向転換されたのではないか、ということが推測出来ます。

 終わりについては、おそらくもう別バージョンは出ないと思います。但し、その過程をつなぐ物語は、今になっても書こうと思えば書けるはずです。何かしら、創作運動が盛り上がればいいなぁと思います。

 4-4.本編においては、田島昭宇氏の絵が魅力的

 前述したとおり、外伝が無数に存在する故、その物語をどこまでも読んでみたいという気持ちが強くあります。その一方で、本編を描いてきた田島昭宇氏の絵がとても魅力的で、小学生だった頃から今まで、氏のファンです。

 最初はまだ、実質的なデビュー作ということもあり、ファンレターに「自分の方が上手く描ける」と指摘されることもあったようですが、それが彼の絵を飛躍的に向上させた、ということもあるようです。確かにMADARA赤の頃には、当初と比べて技術的にもかなり向上していることがわかります。わざと線を滲ませて表現するスタイルは、氏の代表的な作風です。

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5. 今からでも読める。発行された作品達

 今年で誕生31年目になるシリーズですが、今からでも読める作品達をまとめてみました。

・ 魍魎戦記MADARA (摩陀羅壱) :最初の物語。当初は大判で販売されていましたが、現在本屋で手に入るのはB6サイズ。しかも、本屋で注文できるのは、昨年発行された「MADARA ARCHIVES 1 、2 魍魎戦記MADARA」のみかと。

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・ 魍魎戦記MADARA(摩陀羅弐):これは、一作目から結構あとの時代の物語です。ネタバレしてしまうので詳しくは書きません。元々は、「魍魎戦記摩陀羅BASARA」という作品名でした。

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・ 魍魎戦記MADARA赤 :一作目の後日譚。転生したMADARAの手がかりを探す聖神邪の物語。元々は、 「魍魎戦記マダラ3 MADARA赤」 という名前でした。

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・ MADARA 転生編 :現在に転生した転生戦士たちを描く。短編5編。

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・MADARA 青:外伝作品。未完で終わっていることの少なくない他の外伝作品に比べて、完結している作品。転生した先での、聖神邪とカオスの物語。ギルガメッシュ・サーガとも呼ばれる。本屋では置いてないと思いますが、amazonや中古本屋にはあると思います。

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・ MADARA影 :転生編の更に後日談。小説版の「天使篇」とかかわりが深い。一冊で終わっており、続巻はない。中古本屋でしかないと思います。

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・公認 摩陀羅海賊本(ドラゴンコミックス・角川書店)
・公認 摩陀羅海賊本 二(ドラゴンコミックス・角川書店)
・電撃摩陀羅海賊本(電撃コミックスEX・メディアワークス)

海賊本という名前だが、れっきとした公式。外伝やパロディ作品が載っている。 中古本屋でしかないと思います。

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6. 考察しながら、色々読んで見てほしい作品です

 ほんとうにあっさりとだけ紹介してしまったので、面白さをうまく説明出来ていないかもしれませんが、気になった方は是非、読んでみてほしいです。

2020.7 レビュー記事書き始めました。