こんにちは、satoです。私、漫画大好きなんですよね。妻と一緒に住み始めるまでは実家に住んでいたので、読みたいと思った本はバンバン買っていました。ある程度本が増えたら、まとめて売りに行って、また買う、の繰り返し。結婚してからは、一緒に住むわけで、部屋のスペース問題もあってあまり買わなくなりました。最近では、メジャーな漫画は貸本で借りて読み、マイナー漫画でどうしても読みたいやつだけ買うようにしています。
最近、以下の漫画を買いました。手塚治虫の「どろろ」を原作にした漫画というだけで、買わない理由はもはや存在しませんでした。気づいたら買ってた。
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因みに原作について色々紹介していたら、思いのほか記事が長くなってしまいました。もう知ってる!という方は、目次で飛ばして読んでください笑
1.「どろろ」は不朽の名作!(satoの中では)
『どろろ』は、手塚治虫による日本の少年漫画。『週刊少年サンデー』(小学館)にて1967年35号から1968年30号まで連載された後、『冒険王』(秋田書店)にて1969年5月号から10月号まで連載された。戦国時代の日本を舞台に、妖怪から自分の身体を取り返すべく旅する少年・百鬼丸と、泥棒の子供・どろろの戦いの旅路を描く。
~ 時代劇で妖怪物という、かなり特殊なジャンルとして発表されたが、手塚が雑誌で語っているとおり、その暗さから明るいものばかりの漫画の中で当時の読者に受け入れられにくく不人気であった。 ~
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A9%E3%82%8D%E3%82%8D
こんな物語です。私、手塚治虫の作品の中でも「どろろ」「 三つ目がとおる 」の二つは特に大好きなので、どろろの魅力について少しだけ掘り下げてみたいと思います。
1-1.主人公の生い立ちがハード!妖怪たちに奪われた自分の体(パーツ)を取り戻すロードムービー
主人公は「百鬼丸」という少年。戦国武将であった父・ 醍醐景光が天下取りをするために魔物と契約し、生まれた直後にいけにえとして差し出されてしまったために、体の48箇所が欠損した状態で川に流されてしまう。そのままでは程なく死んでしまうところで、寿海という医者に拾われます。
手足も目も口も、、、48箇所が無い状態の百鬼丸でしたが、生きる意志は強く、寿海が作った義手や義足、体の欠損を補うパーツをつけ、成長していきます。基本的に、聞こえないし見えないし、話せもしないですが、その代わりにいわゆる超能力みたいな力が発達して、テレパシーで会話したりします。
1-2.魔物を倒すごとに、身体の一部が戻ってくる。
子どもの頃から、死霊や妖怪が付きまとっており、家に集まってきてしまう。これに困った寿海は、 おまえを受け入れてくれる場所を探せと、百鬼丸という名を与えて家から送り出します。自分を受け入れてくれる場所と、身体を奪い去った魔物を追い求めて。
百鬼丸は、魔物を退治するごとに身体の一箇所が生身の肉体に替わります。また、作り物の身体パーツのあちこちに武器を装備しており、これで魔物と戦います。少しずつ生身に戻っていき、成長するところが私は好きです。RPGみたいですし。
1-3.暗いストーリー展開。
時代背景が室町時代中期。 いわゆる戦国時代に突入している頃です。
日本の戦国時代(せんごくじだい)は、日本の歴史(にほんのれきし)において、15世紀末から16世紀末にかけて戦乱が頻発した時代区分である。世情の不安定化によって室町幕府の権威が低下したことに伴って、守護大名に代わって全国各地に戦国大名が台頭した。領国内の土地や人を一円支配(一元的な支配)する傾向を強めるとともに、領土拡大のため他の大名と戦闘を行うようになった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E5%9B%BD%E6%99%82%E4%BB%A3_(%E6%97%A5%E6%9C%AC)#%E5%8C%97%E9%96%A2%E6%9D%B1
日本のあちこちで国取り合戦が行われ、戦争状態。世の中全体が不安定だった時代です。まず、百鬼丸が実の父に生贄として差し出される、というところから始まり、心を通わせた少女があっさり殺されたり、誰にも頼れない孤独な状況であることなど、作品には暗い雰囲気が流れています。そりゃあ当時は人気出なかったのも頷けます。只、私個人としてはこのようなシリアスで暗い物語は好物だったりします。
1-4.暗い物語に一筋の光。どろろの存在。
忘れてはいけないのが、作品名にもなっている、どろろの存在。
どろろは夜盗( 夜、物や金を盗むこと。その盗人。 )である火袋という人物の子で、生まれながらの泥棒。親が部下に裏切られ、そののち亡くしたが、コソ泥として独りたくましく生き延びていた。
激動の人生を送ってきており、そのために「金」と、武器としての「刀」に執着する。百鬼丸には大人数人にリンチに遭っているところを助けてもらい、その後、 百鬼丸の持つ刀を手に入れるために勝手についていく。
もう一人の主人公という立位置で、明るい性格を以って、この暗い物語を照らしていきます。最初は刀だけが目的でしたが、一緒に旅をするうちに百鬼丸に大きな信頼(好意も)を寄せ、いいコンビになっていきます。
1-5.原作が未完。それ故、定期的にリメイクが発表されるという変わった作品。
じつはこの「どろろ」という作品、途中で連載誌が変わっていたり、最終回も半ば強引に終わらされていたりと、物語と同様に現実も結構大変だったみたいです。
1967年8月27日号より『週刊少年サンデー』(小学館)で連載が始まるが、暗く陰惨な内容が読者に受け入れられず、手塚が内容に対する迷いを感じ始めたこともあり、単行本では「無常岬の巻」にあたる話の1968年7月21日号の回で1度連載終了となり、「第一部・完」と表記された。テレビアニメ化に伴い掲載誌を替えて1969年、『冒険王』(秋田書店)で5月号から10月号まで連載された。5月号とその別冊付録、6月号に掲載された最初の2回は、過去の原稿の再録や改変を行い設定を一新した新たな内容の序盤が掲載され、続いて新作が連載されて、アニメ終了時期と同じ10月号で一応の完結をみるが、こちらもストーリーとしては途中までとなり、きちんとした物語の完結には至らなかった。単行本は『週刊少年サンデー』連載分をもとに『冒険王』連載分もまとめられ、最終ページの地獄堂が戦火で焼失したくだりなどを含めた加筆、細部の変更、修正、削除を加えられて発刊されたが、見開きや扉絵は収録されていない。単行本は、連載された話の順番を入れ替えた秋田書店サンデーコミックス版と、後に連載順の内容で編集され細かな修正がなされた講談社手塚治虫漫画全集版の2種類が存在しており、全集の発売後に出版された文庫サイズの漫画は秋田書店、講談社どちらも全集版と同じになっている。また、『冒険王』の弟誌である『まんが王』には、手塚プロ制作のセル画漫画によるどろろも1969年4月号から10月号まで連載された。漫画以外のメディア展開は上記のテレビアニメの他、後年にゲームソフト、実写映画も製作された。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A9%E3%82%8D%E3%82%8D
小学館→秋田書店と出版社もまたいでいることがすごいですね。手塚治虫自身も物語に迷いを感じているようです。結局、最終回はなんだか無理やり終わらせたような感じになっていて、「きっちり終わったなー」という印象がない最終回です。
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ただ、こんな感じできっちり完結していないが故に、物語自体に「隙間」が出来て、後の世で何度もリメイクされたり、オマージュされたりすることとなります。元々、物語が暗いとはいっても、とても魅力的なストーリー、キャラクターだったから、たくさんの人に愛される作品になっているのだと思います。
1-6.後世で制作された物語たち
原作がある意味「未完」ということで、後世ではたくさんの続編やリメイク作品が作られています。以下にまとめておきます。
・どろろ PCゲーム:1989年に発売されたもの。古いものなので市場には見つかりませんでした。
・どろろ Playstation2: 2004年にセガ(後のセガゲームス)からCEROレイティング15歳以上対象のPlayStation 2用ソフトとして発売されたもの。設定等、原作とは違うところがあるものの、原作では描かれなかった48体の魔物(ゲーム内では魔人)と 戦える。ラストはゲームオリジナルだが、初めてきちんとラストまで完結する物語となった。
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・どろろ 映画: 2007年公開の日本映画です。百鬼丸は妻夫木 聡 、どろろを柴崎コウが演じています。制作費20億円に対し、興行収入34.5億円の大ヒットとなっています。物語は、続編を匂わせる形で終わっています。続編の予定もあったようですが、現在までに実現はしていません。
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2019年9月現在、amazonプライムビデオでも見れます。
・どろろ梵 漫画:2007年から連載された作品。どろろの時代から500年後。現代に転生した百鬼丸(ついでに女性として)が、妖怪にとり憑かれ、融合してしまったどろろを「殺す」ために探す物語。オリジナルの要素が強い。
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・どろろと百鬼丸 漫画:2018年から連載されている作品。 原作のリブートです。 士貴智志さんが描くリファインされたキャラクターたちがとてもかっこいいです。原作に沿って、自然にオリジナルエピソードが挿入されています。安心して読める作品。
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・どろろとえん魔くん 漫画:2013年に連載が開始された。どろろと、永井豪の「どろろんえん魔くん」のコラボレーション漫画。成長したどろろが、百鬼丸を探す旅をしている途中でえん魔くんと出会い、妖怪退治をしながら旅する話。作画は永井豪&ダイナミックプロが担当。
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・どろろ アニメ:2019年に、パイロットフィルムを含め3度目のアニメ化となった作品。MAPPA制作。身体の11箇所の部分を鬼神たちに奪われているという設定に替わっている。義体から本来の肉体になる度に、ある意味弱体化していく様子や、よく考えたら確かにそうかもしれないといった描写が丁寧に描かれる。私は良作だと思います。
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2.「サーチアンドデストロイ」 鬼才カネコアツシが挑戦! どろろを大胆にアレンジ!!
さて、やっと本編にたどり着きました笑
とはいえ、ここでは未読の方に是非読んでいただきたいので、あらすじ程度に収めておきたいと思います。
2-1.舞台は近未来。人間とロボットが存在する世界。
内戦後の不安定な世界観を舞台にしています。厳密には未来ではないかもしれませんが、自我を持ったロボットが人間社会において強大な権力を持ち始めたりしているので、近未来って事でいいかなと思います。この世界では、「人間=ヒュー」「ロボットクリーチャー=クリーチ」と呼ばれています。
主人公は「百」という少女。体のほとんどが機械です。まだ1巻ではどういった理由で体に欠損があるのかは語られていません。
「百」は、クリーチが違法に人間のパーツを体に移植し、生体の感覚を味わっており、そのパーツが自分自身のものであることを知っています。そのため、自分のパーツを持っているクリーチを探し、戦い、取り戻しています。(どうやって探しているかは、やはりまだ語られていませんが)
「どろ」というストリートチルドレンが途中から登場し、「百」に煙たがられながらも有益な情報を与えたりして、つながりを深めています。
「百」=百鬼丸、「どろ」=どろろ
ですね。原作を読んでいなくとも、絶対に楽しめる作品だと思いますし、知っていたら尚面白いかと。2019年10月には2巻が出る予定です。
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2-2.「テヅコミ」にて絶賛連載中!
「漫画の神様」のもとに集う
https://micromagazine.net/information/mm_180803/
気鋭のマンガ家たちが
手塚治虫ワールドで奇跡の共演!!
『テヅコミ』創刊のお知らせ
手塚治虫先生の生誕90周年記念企画として
手塚プロダクション公式監修のもと刊行される『テヅコミ』は、
今をときめく豪華作家陣による手塚治虫トリビュート作品の連載を中心に構成されています。
また、毎号
特集テーマを設けて、
手塚治虫先生の名作の数々を紹介いたします。
今回、手塚プロダクションの全面協力により、
今までより美しく再現された作品の掲載が実現いたしました。
『テヅコミ』創刊号は、10月5日(金)の発売。
以降、毎月発売の全18号発行予定です。
2018年10月から刊行されている「テヅコミ」という雑誌で連載されています。全18号という、終わりが決まっている刊行形式もちょっと珍しいかもしれません。
手塚治虫生誕90周年記念でこれをやるということは、100周年になったらそのときも盛大に何かやりそうですよね。
2-3.鬼才カネコアツシのこと。
カネコ アツシ(本名:兼子 篤、1966年12月26日 – )は、日本の漫画家、イラストレーター、デザイナー。山形県酒田市出身。専修大学経済学部(経済学科)卒。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%8D%E3%82%B3%E3%82%A2%E3%83%84%E3%82%B7
1988年、『ハイユユクク』を執筆するが落選。次作『Ratty gets new way』が『ビッグコミックスピリッツ』新人賞で佳作入選。1990年、アフタヌーン四季賞冬準入選。筆ペンを使った独特のタッチで、漫画を中心としてCDジャケットのデザイン、イラストの仕事など幅広く活躍。
著作『B.Q.』のうちの一作が映像化された他、『BAMBi』の映画化も発表されている。また2005年には、初めて映画監督を務めた『蟲』を含むオムニバス映画『乱歩地獄』が上映された。
好きな映画監督はスタンリー・キューブリックで、特に好きな映画は『時計じかけのオレンジ』。身体の数箇所に、自身でデザインした刺青をしている。
私がカネコアツシさんを知ったのは、約20年くらい前と思います。漫画というよりは、イラスト色の強い絵を描いてらっしゃって、白黒のコントラストがパキッとしている、とてもスタイリッシュな絵に引き込まれました。今まで描かれている漫画作品も独特で、他の追従を許さないストーリー展開が魅力です。
これからどんな物語になっていくのか、とても楽しみです。